第14話
“我が家で暮らす“は当たり前!本人の強い想いからの学び
2019年~2022年の暮らしから
O氏90代:家を顧みることよりも仕事中心に生きてきた世代の方。会社役員をしゴルフや登山サークル・カラオケ等趣味が多彩、昭和のサラリーマンの典型のような方である。5年前愛妻と長女が続けてお亡くなりになり、県外に住まう次女さんが介護を担うこととなった。O氏の友人と初回訪問をした時は随分緊張した。介護サービスを使うかしら?と。認知症の専門医に繋ぎ、身の回りの事は全くできない事を伝えて要介護1の認定結果を得た。ヘビースモーカーであり、行きつけの喫茶店と食事処とも連携し、生活行動に添った見守りが必要であった。トイレは居間の横にあるので自分で行ける。介護度に併せて自費を気にしながら通所介護・訪問介護・看護を利用し、県外からの娘さんの訪問は月4日として、4年以上独りの生活を続けている。当初はお迎えに行くと喫茶店にいたり、妻を探しにタクシーで外出されたりと、ビックリ行動が見られたが最近は家からの外出は無くなっている。
「嫁さんが欲しいな~」は口癖である。現在要介護3で、家の中での行動は居間のソファーで休みトイレは行けている。煙草は減ってきたが嗜んでいる。食事は配食とヘルパーの準備した食事を台所で食べる。週4回のデイサービスで入浴と着替え・洗濯を行っている。
ご本人は自由気ままに過ごすことを望み、その空間を工夫している。お互いに気遣える同様の生活レベルの方との交流を大切にされている。
娘さんは「父は母と築いてきたこの家で暮らしたいだろうな…自分の住む近くの施設の利用も考えていますが。」「父の居るうちは、父が築いたこの家を手放すのは忍びない…」と。我が家を主体とした訪問・通所・お泊りのできる小規模多機能サービス利用を紹介している。
O氏の相談を受け多くの学びを得ている。”住み慣れた我が家で最期の時まで♥”誰もが願うことである。本人の意志を主体に、ご家族・医療職・介護職・地域との連携を繋ぐマネジメントの実践で実現できる社会になっている。先日9月の日経新聞に『親の介護負担、資産踏まえて』の特集が出ていた。『在宅か施設かで介護費用は大きく変わる』と。①施設利用は月約15万~30万円②在宅は月5万未満が殆どであると。在宅はショートステイの宿泊費が高くなると7万円前後である。我が家は住み慣れた家であり、気持ちが和み身体は自由に動ける。守山市は地域包括ケアサービスが充実してきている。往診医も多く病院・介護サービスも充実していて選択が自由にできる。老い先の独居の不安を真摯に考える時代となってきた。