ゆうらいふエッセイ

子供はなく夫の死後独居生活。お葬式は誰が?

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子供はなく夫の死後独居生活。お葬式は誰が?

2022年2月救急搬送永眠

2008年、夫の死後独居となったK氏の成年後見人を受けた。愛知県に住む姪が申立人で「叔母には全くお金がなく裁判所への費用も私が立て替えています」と連絡があった。本人は認知症があり、市社協の金銭管理とケアマネの支援で自宅で生活していた。

成年後見人の最初の仕事は、夫の遺族年金の手続きであった。幸い遺族年金があったので姪への借金を支払い、ケアマネと協力しての生活支援を始められた。家へ訪問すると部屋は値札のついたままの服であふれていた。市社協の生活支援事業で毎週1万円の小遣いが渡されていて、毎日の外食代と買い物費用とのことで、本人が管理していた。近くのスーパーで勧められるままに買い物をしていた様子。食事を配食サービスにして週4千円渡すこととした。姪と訪問し引き出し等を探したが小銭も全くなく「叔母は宝石や高価な時計も持っていたのに…」と嘆いていた。お金に執着されお買い物が大好きな方であった。おしゃれな方でウイッグの買い替えも希望された。

5年前、在宅生活が難しくなり市内の特養に入所され穏やかに暮らしていた。
今年2月夜間、施設より緊急電話があり「夕食時に喉に詰めて県立病院へ搬送しました」と。病院へ駆けつけ警察の検死に立ち合う。その状況を愛知県の姪へ電話すると「滋賀には行けない…葬式も私はできない。何とかしてほしい」と。とにかく願寺を確認する。病院から死亡診断書をもらい葬儀屋へ連絡して本人の安置場所を確保した。翌日家庭裁判所へ連絡して経過を報告する。銀行へお金の引き出しを依頼すると「葬式代は家庭裁判所の許可がないと出せない」と。家庭裁判所へ手続きに走ることとなる。許可するかどうかは書類選考後、と。仕方がないので火葬料・葬儀料・僧侶のお布施等は後払いで行うこととなった。

幸いなことに願寺の僧侶が本人の夫と懇意であり、納骨堂や永代供養は夫が用意していると話され、加えて夫側の親戚へ連絡してくださり、施設の方も含めて数人の方々の見守りで葬式・火葬・お骨拾いができ、願寺へお骨を届けて納骨堂へお納めすることができた。

“終わり良ければすべて良し”―本人は我まま気ままに生き、夫は妻の行く末を心配し永遠の時を過ごせる場所を用意してくれていたのでは?とほっとした。

ご夫婦仲良く並んで納骨堂に安置し笑顔で過ごされている姿が浮かんできます。愛知県の姪へ電話で状況を説明して残された通帳を送ると、「こんなに多くのお金を残してくれてありがとう…。実は叔父が死んだ時、叔母は葬式代もなくて、私が出すこととなり親戚ともめたのです…」と。

気ままな妻をあの世へ行くまで守り続けてきた夫の姿が浮かんできました。