第19話
いろいろ忘れても我が家が安心!ここは主人と暮らした大切な家!
2023年2月 我が家で元気
93歳M氏との出会いは令和元年秋、県外に住む二人の娘さんがお母様の一人暮らしを心配され相談にいらした。M氏は「主人は警察官であちこち転勤を繰り返す生活でした。主婦として子育てや家事に専念し家を守ってきました。退職後夫婦の生活となりこの駅前の地が便利で良いと。マンションを購入し10年以上住み続けてきました。
主人亡き後も「夫婦で住み続けてきた此処にいたいです」と。
「転勤を繰り返しての生活で必要な物だけ揃えて暮らしてきました」と。お部屋はさっぱりと片づけられ、必要な家具のみ置いています。目を引くのはご主人のいるご仏壇が美しく祀られていること。在りし日のお二人の様子が偲ばれます。
相談時は要支援認定で、身の回りの事はほとんどご自身でできる状態。転倒予防のための手すりレンタル、主治医との連携・内服管理のための訪問看護、リハビリと訪問介護の生活支援を利用しています。娘さん方が月交代でいらっしゃる時に生活状況の確認・情報共有を行ってきました。マンションの隣にスーパーがあり食品の買い物を楽しんで暮らしていました。昨年(令和4年)物忘れが進み、食事や内服・入浴・排泄・着替え等ができなくなり、日々の生活支援に加え、娘さんたちの要望で往診医との連携を取っています。本人は独りでの生活に『住み慣れた部屋であり不安がなく、ここが良い❣』と・・・通所介護もお泊りサービスも拒否され、娘さんとの同居は迷っています。現在は、定期巡回の訪問看護・介護サービスを利用され、訪問看護での健康管理・生活リハビリ・入浴・服薬管理と主治医との連携を受けています。訪問介護との連携で食事管理・服薬管理・掃除・洗濯とご本人ができない事に対応しています。最近は買い物ができないので娘さん方がいらしたときに購入され保存されています。できない事が増え、『一人でさみしい』ともらすこともありますが、バリアフリーの自宅での生活は身体が慣れており、トイレ・寝室・冷蔵庫や・台所等を使われ独居生活を続けています。夜も良く寝れています。
昭和4年のお生まれで“夫は外で仕事、妻は子育てして家を守る”、良妻賢母の理想的教育を受けられ律儀に生きてこられたのだと察します。流行りの編み機を購入され娘さん二人の服は勿論、近所の方々のも編まれていたと。良き妻・母の鏡のような方で、私も敬意をもって接しさせていただいています。
娘姉妹は「母は、田舎の家に身を寄せるより住み慣れたこのマンションで最期の時まで暮らす方が安心かな?段差もなく生活用品の置き場も間取りも身体が覚えているのですね」と。
独居でも住み慣れた我が家で!心地よい暮らしを!心を寄せて見守りながら訪問しています。ご本人がこの文章に目を通し『ありがとう』と応えていただきました。